この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
「そうだ、ヒサ。
あの指輪元気?」
「え?」
あの指輪……?
「うん!もちろん!
もちろん元気だよ!」
センパイから指輪の話しをされるなんて、なんだか嬉しくて、私はポケットに入っている小さなポーチを急いで取り出した。
「こうやって大切に持ってる!」
「持ち歩いてるのか?」
「うん」
「大森先生にでも見つかったら、取り上げられるぞ」
「絶対見せないもーん!」
センパイは指輪をポーチから出すと、手のひらに乗せ、指輪をじっと見つめた。
「……」
センパイ?
「______……実はさ、この指輪初めて指にしたのは、ヒサなんだよ」
「え!?」
「渡す前に、彼女と別れたから」
「……それじゃあ、彼女はこの指輪の存在を知らないの?」
「そうだよ」
そんな……。
もし知っていたら……。
センパイのこの想いを、もし彼女が知っていたら……。