この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。



「じゃあな、ヒサ」







「……うん……」





私はポーチにしまった指輪を、気づかれないようポケットに入れた。







ふと窓の外を見ると、大イチョウの下に傘が2つ。








え!?







バン!



私は思わず窓にへばりついた。








「ヒサ?」




その音に、生徒会室に入ろうとしていた優也センパイが驚いて振り返った。









「!」





雨の中、あの場所に傘が2つ並ぶ……。








よく目を凝らして見ると________……。










「大変!」





私は図書室を飛び出した。









「ヒサ!?」











どうして……どうしてバレた!?








湿気で湿った廊下に足が滑る。




急いでいるのに思った以上に走れない。




靴なんて替えている余裕はなかった。




B棟から外へ飛び出すと、上履きのまま大イチョウの元へ走った。







はぁ……






はぁ……







近づくにつれ、怒鳴っているような声が聞こえた。







やっぱり……。






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