この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。
自分の教室が近づくと足を止め、田辺さんは私の方を見た。
「生徒会長と彼女が別れたと知って、生徒会長を追いかける子は増えた。
生徒会長は誰のことも眼中にないけど。
でも、あなたは違うみたい……。
私は認めない。
あなたが彼女になるなんて、私は認めないから!」
再び念を押すような忠告。
「……」
田辺さんはそう言うと、自分の教室に戻って行った。
田辺さんをあそこまで言わせてしまう、センパイの彼女ってどんな人なんだろう……。
"何年も離れて、それでもお互い忘れず好きでいられる自信があれば、きっと今彼女と別れてなかったと思う"
あの時の言葉……。
重い言葉……。
嫌いで別れたんじゃない……。
今もまだ好き……。
そう言われているようで……。
胸が苦しい……。
また涙が溢れて……。
このまま教室になんて戻れない……。
私はそのまま、自分の教室の前を通り過ぎた。