魅惑の白い肌
彼女は酒が強いらしく、マルガリータをクイっと飲み干し次のカクテルを注文した。


俺はライターを彼女との微妙な距離に置いた。


彼女がいつでも取りやすいように。


俺がライターに手を伸ばした時、彼女も手を伸ばした。


二人の手は重なった。


この時、俺と彼女は”繋がった”。


お互い何を感じたのか。


ただ、始まりの予感がした。


俺は手を離して「どうぞ」と言った。


「ありがとう」


彼女の細く白い指はライターを握った。


俺は無言で酒を飲みながらこの雰囲気を味わった。


まるで店内には俺と彼女しかいないような感覚。


俺は腕時計を見てため息をついた。


終電の時間が近づいている。


「ご馳走様」


と俺はマスターに言った。


すると、


「この次会う時までこのライターお借りしててもいい?」


と彼女が言った。


俺は一瞬驚いたが「どうぞ」と言ってバーを出た。


(この次会う時まで)


っていつだ?


電車に揺られながら俺はまんざらでもない気分を味わった。


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