魅惑の白い肌
仕事と家庭を乗り切って、俺はまたバーに来た。


俺が俺でいられる空間。


マスターは黙ってジントニックを作ってくれる。


ここで気持ちをリセットして日常に帰る。


それが俺の日課。



カランっと扉の開く音がして客が入ってきた。


この香水の香りは彼女だ。


彼女は黙って俺の隣に座った。


「こんばんは」


と声をかけてきた。


「こんばんは」


と俺も答えた。


彼女はまたマルガリータを注文してライターを出した。


「これ、私のラッキーアイテムになったの。


 欲しいな」


と甘えるような声で言った。


俺は彼女を見た。


大きな瞳が艶っぽく輝いている。


「ラッキーアイテムか。何かいい事あったの?」


と俺は聞いた。


「うふふ。またあなたに会えた」


と彼女は答えた。


「俺に会いたかったの?」


「うん。一目惚れ」


と彼女はケラケラ笑った。


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