Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-
「なら、あなたは王妃同然です。王妃なんですよ。あなたが王宮のどこにいようが誰に話しかけようが、あなたの自由で、非難の原因にはなっても、それがあなたの立場を脅かすほどのものにはなりえません」
屁理屈、のような気もする。
けれど、カインの言うことも一理あった。
要は、空気だけなく事実に目を向けろ、ということだ。
小難しく考えすぎなくとも、ただ事実だけを拾い上げれば、物事はもうすこし単純になるはずだ、と。
「小細工なんかしなくても、もうすこし思い切ってもいいんですよ、殿下は。思い切りすぎて致命傷になることは、あなたならないでしょうし」
「思い切って、ね……。そうね。手始めにレグナムをとっ捕まえてみようかしら」
朝は逃げられてしまったが、リーラがはっきりと「話せ」と言えば、彼も話さないわけにいかないはずだ。
おそらく夕方か、遅くとも明日の朝にはまた様子を見にくるはずだから、そのときにでも……。
「そうですね。思い切って陛下を捕まえてみるのも、面白そうですよ」
「面白そうって……。それはさすがに、迷惑に思われそうじゃないかしら。陛下が否と言わなければ、って、さっき言ったのはあなただわ。陛下に嫌われるようなことはしたくないのよ」