Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-
「あぁ、それ、俺も思いましたよ。リーラ様は 姫ぶっていないときのほうが可愛らしい」
小突かれたことなど意にも介さず、カインは頷く。
「姫ぶるって何よ。わたくしはれっきとした姫よ?」
「まぁ、それはそうですけど」
くすくすと笑って、メリーは言う。
「リーラ様のお立場上、礼儀正しく楚々として振舞うことは、王女として必要なこととわかっています。けれど、時折見せてくださるリーラ様の年相応の少女らしい一面が、わたしたちはとても好きなんですよ」
美女というよりも男前に近いメリーに、さらりとそんなことを言われて、リーラは不覚にも赤面した。
「そうそう、そういう意外にすぐ顔を赤くするところとか」
「うるさいわね、カイン」
カインが軽口を言う。
リーラがカインを睨め付けてメリーが小突く。
もうお決まりの流れになってしまっていた。