Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-
「レグナム近衛隊長ですね。お噂はかねがね。神殿守りのメリーと申します」
立ち上がって名乗るメリーに握手を返して、レグナムは次いでカインの方を見る。
本当に音や気配だけでここまでわかるものなのかと、疑いたくなるような自然な動作だ。
「俺は神官のカインです」
カインとも握手を交わし、「近衛隊長兼国王陛下付き護衛のレグナムです。以後お見知り置きを」と、二人に向かって丁寧に名乗る。
どうぞ、とメリーの勧めるままに、レグナムが椅子にかけた。
その両わきにメリーとカインの座ったのを見届けて、リーラはふふふ、とどこかあくどい笑みを漏らす。
「姫殿下、どうかされましたか?」
「……かかったわね、レグナム」
「はい?」
きょとんとするレグナムに、「どうして都合良くあなたの椅子があったと思う?」と言って、彼に見えないのをいいことにリーラはニヤニヤ笑う。