Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-



 そして、身内だと思ってもいいのだと言ってくれたのはカインだ。

その言葉を大切にしたい。



「だから、レグナム。あなたには素で接することにしたわ。素のわたくしはしつこいわよ? 話してくれないと帰してあげないわ」



 リーラに詰め寄られ、レグナムはさらに身を引く。


そしてクスクス笑う両わきの二人を困ったように見比べて、やがて諦めたように苦笑した。



「わかりました。姫殿下の知りたいことを洗いざらい話しましょう」



 レグナムは言って、波が引くように笑みを引っ込め、真剣な顔つきになった。

つられてリーラも居ずまいを正す。



 単刀直入に言います、とレグナムは言った。



――今、この国を蝕んでいるのは、マナンという麻薬の一種です。



 アルザの父である先王による三十年の鎖国の間に大きくなってしまった海賊や密輸商人の駆逐が、鎖国中に弱体化してしまった海軍では追いつかないことは、リーラも知っていた。



 その密輸商人が運んできているものの主が、マナンなのだとレグナムは言う。



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