Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-

　レグナムが何を言わんとしているのかが読めず、リーラは眉をひそめる。



「こうは言いたくありませんが、あなたがウィオンの情勢を嗅ぎ回れば、反発する者が当然、この王宮にはたくさんいます」



「えぇ、そうでしょうね」



「だから、知ったところであなたにできることなどないに等しい上、むしろあなたの身を守るべきこちらの立場からすると、下手に動かれては非常にやりづらい」



　存外にはっきりとした冷たい物言いに、リーラは目を見張った。


隣でメリーが「お言葉ですが……」と立ち上がりかけて、カインに手で制された。



　レグナムはかまわず続ける。



「あなたに何かあれば、少なからずそれが陛下のお立場に影響することを、お忘れなきよう」



　しん、と沈黙が降りた。

手厳しい意見に表情を硬くしたリーラを、レグナムはただ静かなまなざしで見つめる。そして。



「……無礼をお許しください。しかし、これが今の、この国です」



　そう言うと、深く頭を垂れた。