Leila -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅱ-
アルザを疑う気持ちが消えた今、そしてレグナムと話をして、思うことが別にあった。
「もちろんわたくしとしては、婚礼を急ぎたい気持ちはあります。けれど、今夜は陛下に、別のお願いがあって参りました」
アルザは意外そうに眉をあげる。
リーラはまっすぐにアルザの目を見つめ返し、ひとつ呼吸を置いて言った。
「わたくしを、政務の場にお連れください」
アルザはさして驚かなかった。
おそらくは昼にレグナムとした話を聞いているのだろう。
かすかに目を瞠り、それきり難しい顔をして黙り込む。
やがて渋い顔で、しかし、と切り出した。
「……君が政務の場に出ることで、きっと方々から非難があると思う。もしかしたら、危険な目に遭うこともあるかもしれない。この国の現状は知っているだろう? レグナムから話を聞いたはずだ」
やはりリーラがレグナムとどんな話をしたかは、アルザには筒抜けのようだった。ならば話は早い。
「もちろん、聞きました。陛下の心配されていることは、覚悟の上で言っています」
「しかし……」