青春を駆けた。
春木 めい
スピード全開

風をきる音、地面を蹴る感触、流れる汗

こんなに全力で走ってるのになんでだ、ちくしょう。

あいつは笑っている。くそ、むかつく。
私よりも前にいるくせに振り向く余裕があるなんて!!


「ハルキ、おせえぞ」




…この野郎。こっちは女子なんだよ!!

「女子?え?そんな奴どこにいるの?」

ニヤニヤしながらこっちみる。




青村 七人。長距離選手。 私の後輩。


あいつは、もう、速い。
ただただ速いのだ。



長い距離を走っているのに全然失速しねえの。もう超人。てかターミネーター。ウルトラマン。

いつも私の前にいる。抜こうなんてトンデモナイ。
気がついたらもう遠くにいるのだ。

大きく息を吸い込む。酸素が足りねえ。
心はまだまだ元気なのに、私の筋力はそれについてかない。



あいつはゴール先で爆笑してる、むかつく。

「また遅くなったんじゃねーの」

年下のくせに!!

「うっさいわ!ナナトなんでそんな速いのさ」
「さあな、まぁ誰かさんよりは確実に速いけど」

顔をくしゃっとしてこっちみて笑う。
なんとなくかわいいとか思ってしまう。くそー。

そう、こいつは私の好きな人────


とかではなく。

ほんとにただの後輩、後輩。
男子の中で1番話しやすくて1番自分らしくいれる。いい友達。どんなに近くにいても全然緊張しない。

私って結構さばさばしてみえるらしいけど、昔は男子が苦手で話すだけで顔が真っ赤になっていた。
中学にあがって、陸上部に入って男子ばかりの生活に慣れたおかげか最近はそんなに緊張しないけど…。



「ハルキー!」

ドクンっ

奴の声だ。

「な、ナニ?」
「お前さっきの1000mビリだったからスクワット100×3な。」
「え、だってあれ男子3人に女子1人だったじゃん!ムリーーー」
「部長命令だっ」
「こっちは副部長デスケドー」
「部長のほうが偉いもんね~」

ぐはっ。

もんね~って。かわいすぎるっ!

平沢 誠。奴もまた長距離選手。同級生。



この人が正真正銘、私の好きな人。
1年からずっとクラスが一緒。仲良くなったきっかけはLINEだった。
私が鈍臭いのを笑って許してくれるっていうか、なんていうか面倒見がいいのかな?お兄ちゃんみたいな存在。いっつもいじわるだけど時々優しい。

私がインフルエンザでダウンしてるときに授業のノートとってくれたり、男子が苦手だったころ部活の時にさりげなくフォローしてくれたり…。

まぁむかつく所もたくさんありますがね。



「ちくしょう。1000×3のあとのスクワット300はまじで鬼畜だ。あの鬼部長!」
「メイはほんとに筋トレ嫌いだもんねー」
「嫌い!筋トレするくらいだったら走りたいっ」
「いや、そんなこと言ってっから速くなんねんだよっ!」
「うぅ。筋トレします…。」

キャハハハッっと笑う。水笛みたいで耳に響く。キーン。

この子は小森 梨沙。短距離選手。って100メートル専門。
なんていうかこのこ、ギャルっていうの?
チョーウケル、とか。トリマヤバイな、とかよく言う。

うん、ギャル系だな。

けっこう気が強くて、毒舌。怒らせたらこわいタイプかも。とりあえずこの子の逆鱗り触れないように努力してる。





ここは北海道にある、まぁ田舎かなぁ。
だけどコンビニが全然ないとかでもないし(むしろコンビニだらけ)スーパーもまぁ市内で3軒くらいならある。マクドナルドとイオンは1軒だけだけどある。

私の通っている学校は光が丘中学校で1学年に2クラス。人数はまぁ少ない。

そして陸上部に入っている人はヒジョーに少ない。

男子 6人、女子3人。 (幽霊部員も入っている)
























< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop