先輩とわたし
グラウンドでは慌ただしそうに走り回る美咲さんと、
怒鳴り声を上げる監督
真剣にボールを追いかけている部員たち
練習の邪魔になっちゃうだろうし
今日はもう帰ろう。
そう思って こっそりグラウンドに一礼した
橘先輩とはよく話すようになった
廊下で会ったら立ち話するくらいだし、
連絡先をわたしがしつこく聞いたお陰で
今は連絡だって取っている
でもそれだけじゃ足りなくて。
もっと特別が欲しいって
いつの間にかこんなに欲張りになっていた
弱気になったりもした
こんなにしつこくして、嫌われてないのかな?
うざいって思ってないかな?って
悩んで泣いた夜もあったけど、
よく考えてみたら そんな人じゃないから
嫌ならちゃんと断ってくるだろうし
笑いかけてもくれないと思う
橘先輩なりの裏返しの優しさなんだろうな
期待させるくらいなら冷たくしようって、
伝わりづらいかもしれないけれど、
私にはちゃんと伝わってますから。先輩。
だから、早く好きになってください
待ってますから、ずっと。待ってます。