先輩とわたし

橘 隼人 side





橘 隼人 side







最近やたらと絡みに来る後輩ができた

しかも女の子



川園愛 一年生






初対面でいきなり告白してくる大胆な女の子で、正直びっくりしたし、ミーハーだろうと思ってたけど
今もまだ俺に興味があるらしい



確かに可愛い女の子だと思う

髪の毛はゆるいパーマがかかってて
身長は俺より30センチくらい小さい
目も鼻も口も特徴がある訳じゃないけど
その人懐っこさが可愛さを生み出している






あの日以来 教室にも部活にも顔を出すようになった




「橘先輩!」



ちょっと高めの可愛らしい声が背後から聞こえてきた

後ろを振り返ると フェンスに手をかけて
ニコニコしている愛ちゃんがいた



ちょうど練習着に着替えて更衣室から出てきたところだった




「おー、愛ちゃん久しぶり。最近教室にも来てなかったよね」


長い昼休みになると週に3回くらいは後ろのドアから顔を覗かせて
俺の方を見ているちっさい小動物がいる

でも最近はそれがいない


前までは普通に購買に行って部員のみんなと飯を食べていたのに
愛ちゃんが来るようになってから弁当を食べるようになった

愛ちゃんが来るのがいつからか当たり前になっていたから
今日は来るのかなって期待してる自分がいた




そんな自分に気づいていないフリをして。




「だって、先輩最近ずっと寝てるじゃないですか。練習、大変なんですよね?」

「ああ...そっか。ごめん、起きとけばよかったな」

「何言ってるんですか!ちゃんと睡眠取って!ご飯食べて!しっかり野球して下さい!私、先輩と昼休み喋れなくたって平気ですから!」

ふふんってドヤ顔をしながら愛ちゃんは両手を腰に当てた



この子は何も考えていなさそうで
でもしっかり見ているんだって最近分かるようになった

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