先輩とわたし
「俺と喋れなくたって平気、かあ。俺は寂しいけどな〜」
半分冗談、半分本気。
からかうように愛ちゃんに言うと
ボッと色白な顔が赤くなった
「や、やややや、やめて下さい!からかうの!」
もう知りません!今日は帰ります!サヨナラ!って言い放つと、スタスタとフェンスから、俺から、離れていった
「行くなって。今日は練習見ていかないの?」
ピタリと動かしていた足を止めると
くるりと振り返って言った
困ったように笑いながら。
「私、邪魔なんですもん。気が散るでしょ?部外者だから。だからこれからは部活には顔出さないようにしようと思って!」
ああ、ほら。
人のことばっかり気にして。
「監督も、部員も、マネジも、愛ちゃんが見に来てくれて嬉しいって。とくに流星なんか、気合い入るわっていつも言ってるよ。」
俺も同じ。
「...でも、、」
「愛ちゃんは周りのことばっかり気にしすぎ。もっと自己中になっていいんだよ?」
するとまたフェンスに駆け寄ってきてちょっと照れたように、
「いいんですか?先輩のこと、もっと近くで見ててもいいんですか?」
って言ってくるから。
可愛いって、思ってしまった
「いいよ。俺のこと、見てて。」