先輩とわたし
「で?何があったの?」
ベンチに座ると持っていたパックジュースを差し出して私に聞いてくれた
「...実は、最近、橘先輩の様子が変で。声をかけても素っ気ないし、無視されたりするし、部活中も結構酷いじゃないですか。何か私嫌われることしたかなあと思って。」
美咲さんは考えるように空を見上げて
ふうっと息を吐いた
「....なるほどね。あいつさ、見かけによらず、恋愛経験ゼロなの。付き合ったこともないし、野球が恋人だから。なのにそんなあいつにさ、私.....」
" 告白しちゃったんだ "
「..... え?」
「ごめん、愛ちゃんに隼人が好きなこと黙ってて。抜け駆けみたいだよね。本当ごめんなさい。でも、伝えなきゃってなんか思ったの。そしたら勢いで言っちゃって。その日から隼人がずっと上の空。」
私が原因なの。ごめんね。って綺麗な顔を歪ませて言った
なんとなくわかってたし、
初めからわかってた。
美咲さんが橘先輩のことを好きなのは。
「返事は...貰ったんですか?」
「貰ってない。言い逃げしたの。返事はいらないって叫んで逃げてきちゃった。もう分かってるから。隼人が......ううん、なんでもない。」
何か言いかけた美咲さんは
苦しそうに笑って
「私のせいだから。気にしなくて大丈夫。ごめんね、私のせいで辛い思いさせて。」
じゃあ、もう行くねって手をヒラヒラと振りながら
購買に戻って行った