先輩とわたし
大丈夫。
そう信じて、先輩の部活が終わる8時まで
ずっと待った。ひたすら待った。
このまま帰ったら、また弱い自分が出てきてしまいそうだったから。
もちろん美咲さんもいる
あの2人は、気まずくないのかな.....
辺りがだんだん暗くなってきて
ナイターがつく
もう春とは言っても、日が暮れると少し肌寒い
身震いをさせながら、まだかまだかと先輩を待った
先輩は私が待ってることを知らない
先輩たちから見えないところでずっといるから。
きっと、驚くんだろうなあ
あの透き通った瞳の目をパチクリさせて驚くんだろうなあ
こんな状況なのに、能天気だと思う
驚く先輩の顔が思い浮かんで笑ってしまうなんて。
集合の笛がなって、監督の話が入る
「「「あざした!!!」」」
部員たちが一斉に散らばっていくのが
コンクリートの壁の隙間から見えた
更衣室からは着替えの終わった部員が次々と出てくる
先輩....遅いなあ
「あれっ、愛ちゃん?」
暗闇から近づいてくるガタイのいい人影
身長的に橘先輩ではない
「...... 流星さん???」
ナイターの光に照らされて現れたのは流星さんだった
「え、なんでこんな時間まで....?あ、隼人のこと待ってんの?」
「えっと、橘先輩には言ってないんで..「シッ」
突然、流星さんが私の肩を自分の体に寄せ、人差し指を私の唇に触れた
「な、なにするんっ......」
「シッ。静かに」
久しぶりに見た流星さんの真剣な横顔を見て
あ、今は喋っちゃダメなんだと察した
流星さんの視線の先には橘先輩と美咲さんがいた
「俺、やっぱりこのままじゃだめだと思う。こんな曖昧な関係でいたくない。美咲とは。」