先輩とわたし



部室で今までの事を思い出し、
はあっと、息を吐く



すると、部室の裏から声が聞こえてきた


誰だこんな時間に



気になって小さな窓から覗くと
流星と、もうひとり、小さな女子


その2人が抱き合っている

正確に言えば、流星が抱きついている、そんな状態



女子のほうが後ろ姿になっているから顔がわからない。



でもあの身長、あの髪、たぶん、、愛ちゃんだ。





こんな時間にあんなとこで、ふたりきりで、しかも、抱き合って、一体何を.......







「いや、だから、離してくださいってば.....!」


やっぱり、この声は愛ちゃんだ。

流星は愛ちゃんが嫌がっているのに、
一向に離れようとしない。




あいつ.....何やってんだよ.......



確かに流星はたらしだ。
女遊びは激しい

でも女子が嫌がることは絶対にしない
無理やりなんてありえない

そこのところはちゃんとしてる。
はずなのに、



なのに、愛ちゃんのことを.....






「....... 俺が離したら、どこ行くの」



いつもとは違う

真剣な流星を見たのは、野球以外で久しぶりだ





どういうことなんだよ流星.......







「どこって.... 橘先輩のとこです。」


俺の名前が出てきてドキッとした



愛ちゃんは俺に用があったんだろうか。
それで、ここで待ってたんだろうか、こんな時間まで。


だとしたら、きっと、あの現場も見てる.....よな。




「でも、今のあいつには...... 」

「わかってます」



ああ、ほらこの会話。
やっぱり、聞いてたのか。

それとも聞こえていたのか。


どちらにしろ、特に、愛ちゃんには、見られたくなかったな。





「 ..... そうか。あー、離したくねえなあ。俺だって...... 真剣なのに。」




流星......あいつ、どういう意味だよ



まさか、もしかして、愛ちゃんのこと......





すると、流星は急に笑い出して、
冗談だと、愛ちゃんに言った


俺のいる部室に愛ちゃんが丁度向かっている頃。
流星はひとり、ポツリとつぶやいた





「本当に、本気だって、言えたらよかったのになあ。」






やっぱりそうか。

お前も、、好きなのか。愛ちゃんのことを。









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