先輩とわたし
「ふっ、ふはっ、ははっ、はあ〜〜。あのさ、俺、普通にノーマルだから!」
まだ笑っている流星さんをよそに、
橘先輩はじゃあ誰だよって眉をひそめている
ここまで来てわからないなんて、
真の馬鹿なのかもしれない
流星さんはやっと笑い終わって
はあっと、一息吐いた
ゆっくりと口を開いて答えを言った
「....... 美咲だよ。」
「.........え、」
あまりの驚きで完璧に固まっている橘先輩
「俺、中3の時に一回だけ、美咲に言ったんだ。付き合わねえ?って。そしたら、馬鹿だね〜信じないからって笑われてさ。俺も、振られるのが怖くて、内心はすっげえ真剣だったけど、表では軽く言ったんだ。駄目だよな。それから、俺、美咲を忘れるためにいろんな子と付き合ったけど、結局駄目で。やっぱり美咲が好きだからさ。あー、でも俺、正直、美咲が好きなお前が憎かった時もあった。」
先輩は、ハッとした表情をして、申し訳なさそうな顔をした
流星さんは笑って、
「でも、憎んだって、どうにもなんねえだろ?だから、俺なりに頑張ることにしたんだ。今からでも、遅くねえよな。」
橘先輩の肩をがっちりと抱いて、微笑む流星さんはいつもより少しだけ、大人びて見えた
「遅くねえよ。美咲を絶対惚れさせろよな。」
フッと橘先輩が笑うと
「美咲を振ったやつに言われたくねえよ〜〜!!」
ヘッドローック!って言いながら、いつものようにじゃれ合い始めた
私はホッとしてその場を離れた