先輩とわたし
待ちわびた言葉
あの日から一週間以上が過ぎた
先輩とはあの日以来会えていない
きっと、忘れてるんだろうなあ
そう思いながら、でも自分で何も起こせずにいた
もしずっとこのままなら、
私たち、何もないまま終わっていくんだろう
私、それでいいなんて思えない
先輩はどう思うんだろう
なんて1日ぼんやりしたまま放課後が来る毎日
今日もまた放課後がきた
「おーい、日直、日誌書いとけよー」
みんなが部活に向かう騒がしい頃、
担任がドアから顔を覗かせて言った
「あ、わたしか...」
ついてないなあ
今日は帰ってドラマを観ようと思ってたのに
まあいっか、なんてボケっとしながら席について日誌を書き始めた
いつの間にか教室には私しかいなくなって
しんみりと、寂しい教室の外からは
真っ赤な夕日が差し込んできていた
それと同時に、グラウンドのたくさんの声が届いた
「バッチこーーーい!!!!!」
書き終えた日誌を閉じたとき、
あの人の声が聞こえた
すぐにわかる。だって、ずっと聞いていたから。
ハッとして窓からグラウンドを見ると
先輩がいた。私の、好きな人が。
一週間、会えなかっただけなのになあ
多分、こんなに懐かしく感じるのは、
きっと、会いたかった人だから
「 あっ、」
休憩に入ったのだろうか、
監督の声に返事をした後、パッと顔がこっちに向いた
なんで...?見えてるの?
すると先輩は口パクで、私に何か伝えようとしている
「 ま 」
「 て 」
「 ろ 」
ま、て、ろ ..... まってろ、待ってろ?
私が真似して ま、て、ろ と口パクすると
先輩はうんうんと大きく頷いた
待ってていいんだ。やっと、話せるんだ。
こんな日がまた来るって、信じてた
でも確信もない、信じてるだけだった
会いたかった
ほんとに、先輩、会いたかったんです。