先輩とわたし
野球部のひとにお礼を言って早速やってきたグラウンド
「いた」
あの人の言った通り、ひとりで素振りをしている
ブゥン ブゥン と風をきる音がする
一呼吸して、背負っていたリュックの紐を両手でギュッと握った
らしくない。緊張してる。
スゥッと爽やかな夏の風を吸って
声を張り上げた
「たちば「隼人、自主練してるの〜?」
声をかけようとすると、髪の毛さらっさらの女の人が
わたしを追い越して、橘先輩の隣に走って行った
ふたりで仲良さそうに喋っている
だれ?マネージャー?同じクラスの人?
めっちゃ美人だし。髪サラサラだし。
彼女?それとも好きな人?
自分の黒いところがふつふつと湧き出てくる
女の勘とやらはよく当たる
あの女の人は橘先輩がすきなんだ。