先輩とわたし




う、うわっ

こんな間近で見たの初めて....


なんでこんなにかっこいいんだろう...!



ってそうじゃなくて!




「あ、あの....」




ゴクリっと唾を飲み込んだ

橘先輩の瞳には真っ赤になったわたしが映ってる




言うなら今だ






「すきなんです!橘先輩のこと。」




橘先輩、届いてますか?わたしの本気




「俺、?」


「はい!橘先輩に一目惚れしました!」




ここまできたら恥ずかしさなんてものはない
当たって砕けろ




「えっ、でも俺、喋ったこともたぶんないよね...?なのに?」

「言ったじゃないですか。一目惚れだから関係ないですそんなの。」






橘先輩は一瞬考えたような、少し困った顔をして言った



「そっか、うん、でもごめんね。まだ君のことよく知らないし、付き合うとかは考えられないかな」






もう一度、ごめんねと言うとまた自主練に戻ろうと帰って行った





確かに、分かりきっていたことだけど
苦しくて、鼻がツンっとした


「...思った以上にキタなあ。今の。」









ぐいっと、涙を拭ってわたしはお腹の底から声を出した







「先輩!!!わたし、頑張りますから!!!見ててください!!!!」





さっきの美人の人も、流星っていう野球部の人も、橘先輩も、
みんながギョッとした目で私を見る



「じゃ!失礼します!!」



そう言ってグラウンドに丸いシミを残して
ダッシュで駅まで走った




振られたのに、つらいのに、
でもなんでだろう





こんなに清々しい






私にとって、失恋は、始まりになった







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