先輩とわたし
教えて
あの日以来 私はしょっちゅう先輩のクラスに遊びに行ったり
部活を見学しに行ったりするようになった
あの美人な人はマネージャーで
しかも橘先輩の幼馴染らしい
見学させてもらうたびによく話すから
仲良くなった
恋愛感情はないよってニッコリ笑っているけど
私の目はごまかせない
でも今だけ、騙されておくことにした
「橘先輩!」
「あ、愛ちゃん。また来てたんだね」
今日も爽やかな笑顔を見せながら
グローブをはめた手を上にあげた
「またって言わないでくださいよ〜。来ちゃダメでした?」
「そういう意味じゃないって!いつもありがとね」
いまのは反則。ずるい。また好きになる。
あんな笑顔でありがとうなんて言われて、キュンとしないわけがない
すると ポンっと後ろから肩を叩かれた
もう毎日のように会ってるから
後ろを見なくてもわかる
「流星さん。サボりですか〜?」
「馬鹿野郎!愛ちゃんに会いたくて来たんだよ〜」
見た目は普通なのに
よく話すようになると
チャラ男だということが判明した
会うたび会うたびこんな感じだ
初めは一瞬戸惑ったけど、
わたしが橘先輩のことを好きって知ってるくせにそんなこと言ってくるなんて
本気じゃないに決まってる
今や、冷たくあしらうだけ
「はいはい。サボってないで練習してきてください」
ちぇっと、男のくせに可愛く舌打ちをして橘先輩のほうに戻って行った