激しく、優しく、愛して





店の扉を引いたとき目の前に
冬二が立っていた。

1歩前に来るものだから
反射的に1歩後ろに下がる。
それと同時にせっかく開けた扉が
閉まる音がした。


「なんですか」


「なにを拗ねてるんだ」


顔を下に落とせば顎を掴んで上げてくる。

嫌でも目が合い、目線だけを下に向ける。


「接客中にこっち見てくるの迷惑なんだけど」


「俺と目が合うのはお前も見ている証拠だ」


学校での上っ面の笑顔は本当に作りものだ。

だってこんなにも…強引で……鋭い目を
している。




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