A secret word 〜心に秘めた想い〜
放課後になって、1人で帰るのに慣れてきた頃。
「あの、サクラちゃん……っ」
聞きなれない声。
聞きなれない呼び方。
足を止め、振り返ると、
「……栗川さん」
立ち止まったのを確認してか、栗川さんは急いでこっちにやってきた。
「え…っと」
「……?」
栗川さんは、少し言いづらそうに、目をキョロキョロさせながら口を動かした。
「その、サクラちゃんと奏くんは……どういう関係なの…?」
「え…?」
「な、仲良いから!! 気になっちゃって…」
慌てた様子で言葉を付け足した栗川さん。
「もしかして、不安…とか?」
「うん…。奏くんのこと好きな子多いでしょ? 私でいいのかわかんなくて…」
「でも、奏と付き合ってるんでしょう…? 自信、持ちなよ…!」
私…本当にこんなこと思っているのだろうか……。
「そうだよね、“奏くんから”告白してくれたし…」
え。
今、栗川さんなんて…。