A secret word 〜心に秘めた想い〜
「奏から、告白…?」
「そうだよ。一緒に早退した日、
『俺、結構前から気になってて、さっきの見てらんなかった』って、『好きだ』って」
嘘……。
だって奏、家に来たとき…
『なんつーか、その場のノリ? つーか、告白されてさ』
告白されたって、言ってたじゃんか……。
ほんとはずっと栗川さんのこと気にしてたの…?
どっちが本当かわからない……。
「栗川さんは…ほんとに奏のことが、好きなんだね…」
「ええ…っ! ちょ、ちょっとサクラちゃん…!!」
真っ赤な顔をして、オドオドと焦っている栗川さん。
私はその様子を、軽く笑った。
「ただの、幼なじみだよ」
そう答えて、私は栗川さんと目を合わせず家へ帰る道を歩んだ。
きっと私は2人にとっての邪魔者。
笑ったとき、もしかしたら眉が下がっていたかもしれない。
栗川さんみたいにあんな可愛い反応なんてできないし。
本当に奏から告白したのかよくわからないけれど、
それでも私は思った。
──この恋は、叶わないんだ……と。