サガシモノ
奪う
夜になり、あたしたちは旧校舎の柱時計の前に立っていた。


外から見れば昨日と同じように2階に人影が見え、確認しにいったがやっぱりそこに教室は存在していなかった。


不安と恐怖が入り乱れる中、柱時計が2時を知らせた。


いつものように耳を塞いでやり過ごすと、教室の手前にある男子トイレに明かりがともった。


「今日はトイレか」


陽がそう呟いて、足早に近づいていく。


あたしと渚は軽く目を見交わせた。


女子であるあたしたちが男子トイレを覗き込むなんて、なんだか恥ずかしい。


だけどそんな事を言っている場合でもなくて、とりあえず男子たちの後に続いた。


「パ、パンツ脱いでたら、どうする?」


渚がコソッとそう聞いて来た。


顔はほんのりと赤くなっている。


「し、仕方ないじゃん」


あたしはおどおどしながらそう返事をした。


あたしだってとても恥ずかしい。


だけど探し物のヒントがあるとすればちゃんと見ていなきゃいけない。
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