サガシモノ
その事実と今見た映像が重なって行くのがわかった。


自殺……。


可能性は十分にあると思えた。


今の時点であれだけ壮絶なイジメに発展しているのだ、これから先もどんどんエスカレートしていくだろう。


考えただけで胸の奥が重たくなる感覚がして、あたしは考えを振り払った。


「今の映像で言うと、学校全体を探す必要がありそうだな」


1人冷静にそう言ったのは陽だった。


「宝探しって言ってたもんな。飯田アキラが簡単に見つけられないような場所を選ぶだろうな」


健が陽に賛同してそう言う。


「1年2組と3組は調べ終えているから、今日は1組を探すか」


海が言い、陽が「それなら手分けをして探そう」と、提案してきた。


「俺と健は1年1組を探す。残りのメンバーは2年1組を探してくれ」


「わかった」


あたしはそう頷き、海と渚の3人で移動を始めた。


探し物は腕時計。


万年筆よりは大きいけれど、ちょっとした物陰にも隠れてしまうような物だ。


慎重に探していく必要がある。


2年生の部屋は1年生の教室とほとんどかわらなかった。


ただ教室の奥に寄せるようにして机が積まれているため、これを1つずつ調べて行く必要があった。


「あそこは任せとけ」


そう言い、海が大股で積み重ねられた机へと歩いて行く。


海が机を床におろしている間、あたしと渚は教室内を調べていた。


「特に何もないね」
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