サガシモノ
誰も知らない
夜中の1時20分。


あたしは旧校舎に到着していた。


4人はすでに到着しているようで、旧校舎の中にライトの光を見つけた。


あたしは呼吸を整えて旧校舎の中へと足を踏み入れた。


ついさっき感じたのと全く同じ寒気が体にまとわりついてくる。


今日はスマホもライトもなにも持ってこなかった。


少し後悔するけれど、仕方がない。


「健、来てるんでしょ?」


暗闇へ向けてそう声をかけると、自分でも驚くほどに声が反響していた。


「咲紀?」


健の声が広間の方から聞こえてきて、すぐにライトの明かりがあたしを照らしだした。


「咲紀、お前どうしたんだよ!」


駆け寄って来た健が驚いた顔をしている。


ライトはあたしの足元を照らし出していて、視線を落とすと自分の足から血が滲んでいる事に気が付いた。


素足のまま全力で自転車をこいできたのが原因みたいだ。


「大丈夫だよ」


「ってかお前、今日は来れないんじゃなかったのか?」


「そうだったんだけどね……」
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