サガシモノ
そう聞いて、あたしは思わずポカンと口を開けてしまった。


盗んだものを盗まれる?


そんなことってある?


「冗談でしょ……」


「本当のことだ」


せっかく3人が生きているとわかって、松田邦夫には話を聞くことまでできたのに、結局なんの役にも立っていないことになる。


「とにかく、今日もしっかりと映像を見て探すしかなさそうなんだ」


陽の言葉にあたしは「わかった」と、力なく頷いたのだった。
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