サガシモノ
「とにかく、腕時計を探そう」


陽が言う。


「お前、あんな映像見てよく探し物なんてできるな?」


海が陽に食って掛かる。


陽は海を睨み付けた。


「映像はとっくの昔に終わった事を見せているだけだ。今俺たちが怒ってもどうしようもないだろ」


冷静な陽の言葉に海は顔が真っ赤になって行く。


「なんだとお前! あれを見てもなんとも思わねぇのかよ!!」


そう怒鳴りながら陽の胸倉をつかんだ。


「ちょっと、やめなよ海!」


渚が止めに入っても、海は全く聞こえていない様子で陽を睨み付けている。


「俺だって腹が立ってんだよ!!」


陽の怒鳴り声が響き渡り、あたりは静まり返っていた。


陽が怒ったことなんて、今まで1度も見たことがない。


「だから俺たちが代わりに腕時計を探してやるんだろうが!!」


陽はそう言い、海の手を振りほどくと科学室の中を探し始めたのだった……。
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