サガシモノ
「健はトマトが苦手だから入れないようにしないと」


あたしがそう言うと「え、でも陽はトマトが好きだよ?」と、栞。


渚はさっきから黙々と海の好きなおかずを作っている。


う~ん、それぞれに作っているからまとまりのないお弁当になりそうだ。


「オカルト部に入らない方がよかったかなぁ」


不意に、渚が料理の手を止めてそう呟いた。


「え、なんで?」


栞が驚いて目を丸くしてそう聞いた。


「だってさ、オカルト部って可愛くないじゃん」


渚の言葉にあたしは瞬きを繰り返した。


オカルト部に可愛げがあるかないかで言えば確かにないと言えるけれど……。


「海に可愛いって思われたいんだ?」


栞が渚のわき腹をつついてそう言った。


渚はわかりやすく頬を赤く染める。


「なんだそんなこと? だったらきもだめしなんてチャンスじゃん!」


あたしはそう言い、渚の背中を叩いた。


「きもだめしで怯えるふりをして一気に距離を縮めるんだよね!?」


あたしの言葉に栞が乗って来る。


「そうそう! 悲鳴を上げる渚を可愛いやつって思ったりして」
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