サガシモノ
☆☆☆

家に戻って出かける準備をして仮眠する。


あっという間に時間は過ぎていき、夜中の1時になっていた。


そろそろ行こうか。


流行る気持ちを押さえながら玄関先まで出て行くと、パジャマ姿の両親の姿があって立ち止まった。


まさか、また行くなって言われるのかな?


そう思い、あたしは両親を見つめた。


ダメだと言われたら、また飯田アキラが迎えに来るかもしれない。


昨日の夜を思い出すと背筋が凍る思いだった。


もうあんな思いはしたくない。


「車で送って行く」


突然お父さんにそう言われ、あたしは反応ができずに口をポカンと開けてしまった。


「なにボーっとしているの? 旧校舎へ行くんでしょう?」


お母さんがあたしの背中を押した。


「う、うん……」


「娘を夜中に1人で出歩かせるわけにはいかないからな。帰りは健君にちゃんと送ってもらうんだぞ?」


お父さんが背中越しにそう言った。


「わ、わかった!」


あたしはそう言い、お母さんに手を振って玄関を出たのだった。
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