サガシモノ
☆☆☆

相変わらず気味の悪い校舎だけれど、見えて来た全貌に気持ちは高鳴っていた。


もう少しで何が起こっていたのかわかる気がする。


その頃には腕時計のありかもわかっているかもしれない。


そんな、明るい未来を描いていた。


「もうすぐ2時だ」


5人で柱時計の前に立ち、それをジッと見つめる。


ほこりをかぶり、動かない時計の針。


それが突然2時に動いた瞬間、柱時計の音が鳴り響き始めた。


あたしは耳と目を塞ぎ、その短い時間をやり過ごす。


そして目をあけた時、周囲は明るくなっていた。


みんなライトを消し、周囲を見回す。


1年3組の窓から中を見ている武田陽太の姿があった。


「行こう」


陽を筆頭にあたしたちは1年生の教室まで移動した。


武田陽太は少しだけ開いた窓から中の様子を見ていて、他の窓や戸はすべて閉まっていた。


「なにを見てるんだ?」


陽が首を傾げてそう呟いた。
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