サガシモノ
好きな相手の写真なら、こんな風に画鋲を差すなんて事しないはずだ。


だけど写真の中の2人はとても仲良く寄り添って写っている。


誰がどう見ても恋人どおしだ。


だとしたら、吉原先生はこの人と別れたんだろう。


相当怨んでいたように見えるから、綺麗な別れ方もしていなさそうだ。


「この写真の男、どっかで見覚えねぇか?」


海が画鋲を抜いて写真を見つめ、そう言った。


「そうだっけ?」


渚が海の持っている写真を見て首を傾げる。


「そんな事より、今は腕時計を探すぞ! 時間がない!」


陽の声で我に返り、あたしたちは職員室の中を探し始めたのだった。
< 170 / 214 >

この作品をシェア

pagetop