サガシモノ
☆☆☆

その日はいろんな意味で眠る事ができなかった。


目を閉じると健の唇のぬくもりを思い出して、ドキドキして目が覚めてしまう。


ちゃんと寝ないと明日の探し物もつらいのに、どうしても眠りにつくことはできなかった。


そして、翌日の集合時間。


あたしは一番最後に到着した。


「ご、ごめんみんな」


到着してすぐに謝ると、渚がニヤニヤとしたいやらしい笑顔を向けて来た。


「いいよぉ? 昨日は眠れなかったんでしょ?」


「へ? な、なんでそれを?」


「健から聞いちゃった!」


そう言い、満面の笑顔を浮かべる渚。


「き、聞いたって、何を!?」


そう聞く自分の声は完全に裏返り、顔は熱くなっている。


「あれ? もしかして帰り道になにかあった?」


「へ? え? 今健に聞いたって……」


「嘘だよー?」


渚は更に面白そうに笑い声を上げた。
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