サガシモノ
「そうです」


「何を探してるんだ?」


「腕時計です」


健は迷う事なくそう言いきった。


あたしは1人どうすればいいかわからず、水原先生と健を交互に見つめるだけだった。


「腕時計?」


水原先生は眉間にシワを寄せ、あたしたちに近づいてくる。


絶対に信じてもらえてないって!


健にそう言おうとしたとき、あたしはある事に気が付いた。


水原先生の顔が、昨日見た写真の男と似ているのだ。


「あ……」


思わず声をもらす。


随分とふくよかになっているし、老けているけれど確かに面影はある。


健は水原先生を見た瞬間、その事に気が付いたんだろう。


水原先生の目をジッと見つめてそらそうとしない。
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