サガシモノ
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今までの出来事を順序立てて話すのは大変だったけれど、校長は黙ってあたしたちの話を聞いてくれていた。
すべてを話し終えると、校長は軽くため息を吐き出して髭から手を離した。
「以前にも、何度か同じ事が起きている」
重苦しい雰囲気の中、校長がそう言ったのだ。
「え……? 何度かって、近藤先輩から聞いた話以外にもあるんですか?」
「あぁ。それまでにも何人かの生徒たちが旧校舎へ行き、そして行方不明になっている」
「なんで、そんな危険な建物を取り壊さないんですか?」
健が身を乗り出してそう聞いた。
あたしも同じ気持ちだった。
「壊そうとしたが、できなかったんだ」
校長はそう言い、昔を思い出すように声を絞り出した。
「頼んだ業者の人間が次々と失踪してしまった。みんな、いなくなったんだ。それ以来街にも旧校舎についての妙な噂話が出るようになって、取り壊しを反対されるようになったんだ」
校長の話はにわかにも信じられないものだった。
だけど、それが本当のことなら今でもあの旧校舎が建っている意味はわかった。
壊したくても、壊せないのだ。
今までの出来事を順序立てて話すのは大変だったけれど、校長は黙ってあたしたちの話を聞いてくれていた。
すべてを話し終えると、校長は軽くため息を吐き出して髭から手を離した。
「以前にも、何度か同じ事が起きている」
重苦しい雰囲気の中、校長がそう言ったのだ。
「え……? 何度かって、近藤先輩から聞いた話以外にもあるんですか?」
「あぁ。それまでにも何人かの生徒たちが旧校舎へ行き、そして行方不明になっている」
「なんで、そんな危険な建物を取り壊さないんですか?」
健が身を乗り出してそう聞いた。
あたしも同じ気持ちだった。
「壊そうとしたが、できなかったんだ」
校長はそう言い、昔を思い出すように声を絞り出した。
「頼んだ業者の人間が次々と失踪してしまった。みんな、いなくなったんだ。それ以来街にも旧校舎についての妙な噂話が出るようになって、取り壊しを反対されるようになったんだ」
校長の話はにわかにも信じられないものだった。
だけど、それが本当のことなら今でもあの旧校舎が建っている意味はわかった。
壊したくても、壊せないのだ。