サガシモノ
すでに自分の正体がバレているから、校長の前でも堂々としたものだ。


クビを覚悟して暴露したんだろう。


「水原先生は事件の事をよく理解しているようなので、今日からはこの子たちを手伝い旧校舎で探し物をするように」


不意に校長にそう言われ、水原先生が青ざめた。


「ちょっと、冗談ですよね?」


「冗談じゃない。君も今の旧校舎を作り上げた人間の1人だろう。生徒たちだけに恐怖や悲しみを味あわせるつもりか?」


「で、でも……」


水原先生はまた汗をかき始めた。


あの旧校舎でどれだけの人が犠牲になったのか、よく知っているのだろう。


知っていて今までのノウノウと暮らしていたのかと思うと、やっぱり腹が立った。


「それなら松田邦夫と武田陽太にも連絡を入れて手伝ってもらおう。当時のメンバー勢ぞろいだ」


健がそう言い、水原先生を見た。


「そうするといい。本人たちの問題は本人たちで片づけさせるべきだ。水原先生、もし今夜彼らとの約束を破るようなら、今の出来事を警察に報告しますよ」


校長はそう言い、膝の上からテープレコーダーを取り出した。


いつの間にそんなものを用意していたのか、あたしは驚いて校長を見た。


あたしと視線が合うと、校長はへたくそなウインクを返して来た。


水原先生は完全に黙り込んでしまったのだった。
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