サガシモノ
そして……。
あの日がやってきた。
誰もいない放課後の校舎。
男子トイレで話声が聞こえて来る。
あたしたちがそちらへ向かうと、飯田アキラに水を浴びせようとしている五十嵐孝の姿があった。
「やめておけ」
五十嵐孝は昔の自分に向けてそう言い、ホースを奪った。
学生服の五十嵐孝は驚いたように目を見開いている。
「だ、誰だよお前!!」
誰もいないと思っていたところに大勢の人間が現れて相当驚いている様子だ。
未来の五十嵐孝は怖い顔をしているし、怖くなって当然だった。
「未来のお前だ」
「は、はぁ? 何言ってんだこのオッサン!」
必死に強がっているけれど、その表情はこわばっている。
「お前ら、これ以上アキラをいじめたら今度は俺がお前たちをイジメるぞ」
奥にいる松田邦夫と武田陽太へ向けてもそう言う五十嵐孝。
2人は未来の五十嵐孝に怯えているけれど、本人だけはいつまでも食いついてくる。
「俺が誰をイジメようが関係ねぇだろ!!」
「あぁ、もうこいつは。可愛くないガキだな」
「ガキだと? 高校生に向かってガキなんて――」
そこまで言った時、未来の自分の拳が頭に落ちてきて五十嵐孝はその場に座り込み悶絶してしまった。
あの日がやってきた。
誰もいない放課後の校舎。
男子トイレで話声が聞こえて来る。
あたしたちがそちらへ向かうと、飯田アキラに水を浴びせようとしている五十嵐孝の姿があった。
「やめておけ」
五十嵐孝は昔の自分に向けてそう言い、ホースを奪った。
学生服の五十嵐孝は驚いたように目を見開いている。
「だ、誰だよお前!!」
誰もいないと思っていたところに大勢の人間が現れて相当驚いている様子だ。
未来の五十嵐孝は怖い顔をしているし、怖くなって当然だった。
「未来のお前だ」
「は、はぁ? 何言ってんだこのオッサン!」
必死に強がっているけれど、その表情はこわばっている。
「お前ら、これ以上アキラをいじめたら今度は俺がお前たちをイジメるぞ」
奥にいる松田邦夫と武田陽太へ向けてもそう言う五十嵐孝。
2人は未来の五十嵐孝に怯えているけれど、本人だけはいつまでも食いついてくる。
「俺が誰をイジメようが関係ねぇだろ!!」
「あぁ、もうこいつは。可愛くないガキだな」
「ガキだと? 高校生に向かってガキなんて――」
そこまで言った時、未来の自分の拳が頭に落ちてきて五十嵐孝はその場に座り込み悶絶してしまった。