サガシモノ
「冬に心霊スポットに行く計画を立ててるみたい」


渚がしかめっ面をしてそう言った。


「え、本気!?」


心霊スポットなんて、旧校舎でこりごりだ。


男子ってこりないんだなぁ。


そう思っていると、体育館のステージに校長が現れた。


あたしと目が合い、下手なウインクが飛んでくる。


あたしは苦笑いをするしかない。


栞は瞬きをして「咲紀と校長っていつから仲良しになったの?」と、聞いて来た。


「今日は新しい先生を紹介します!」


校長はいつもよりも張り切った口調でそう言った。


「が、その前に1つ残念なお知らせがあります。水原先生がこの学校から去ることになりました。


本来なら挨拶があるのですが、本人の要望により挨拶も控えさせてもらうことになりました」


そう言う校長の表情はちっとも悲しそうには見えなかった。


結局水原先生は戻らなかったんだ。


そりゃそうだよね。


未来は変わったと言っても、人殺しだって生徒にバレちゃったんだから。


教師としても、人間としても失格だ。
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