サガシモノ
大きくて体中に響くような音が鼓膜を刺激する。


たった2回鳴っただけなのに、強いメマイを感じてその場に座り込んでしまった。


「今の、本当に……」


メマイを振り払うように顔をあげたその時だった、不意に辺りが明るくなっていることに気が付いた。


「な、なに……?」


栞が後ずさりをする。


「おい、誰か電気つけたのか?」


健がそう声をかけるが、誰も返事をしなかった。


そもそも電気なんて通ってないはずだ。


「おい、まじかよ……」


尻餅をついていた陽がようやく立ち上がり、栞の元へと駆け寄った。


「これ、やばいって」


海がそう呟いた時、不意に話し声が聞えて来た。


誰もが息を止めてその声に耳をすませる。


話し声と足音は次第に大きくなってきて、こちらへ近づいてくるのがわかった。


逃げなきゃ!!
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