サガシモノ
頭ではそう思っているのに、体が全く動かない。


心臓ばかり早く動いて呼吸が乱れていく。


そして次の瞬間……。


昔の椿山高校の制服を着た男子生徒3人が、柱時計へと近づいて来るのが見えた。


ヒッと小さな悲鳴を上げる渚。


それでも体はいう事を聞かないのか、その場に佇んだままだ。


誰も少しも動くことはできなかった。


現れた男子生徒たち3人は「どこに行った?」と囁くような小さな声で呟き、あたしたちの周りを歩き始める。


服装で男子生徒だとわかるのに、その顔は妙に歪んでいてハッキリと確認することができない。


彼らの声も柱時計のように心臓に響くように聞こえて来る。


1人があたしのすぐ近くを通る。


その瞬間、ヒヤリとした冷たい冷気が通り過ぎていき、背中が震えた。


「あれは大切なものなんだ」


「探さないと……」


「探さないと……」


3人はウロウロと歩き回り、何かを探している。


「な……にを……」


震える声でそう言ったのは健だった。


健は小刻みに震えながらもジッと3人の行動を見ている。


「何を……探してるんだ?」
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