サガシモノ
別人
栞の家は小さな一軒家だった。


白い壁が太陽の光で輝き、プランターに植えられている花が心地よさそうに風に揺れている。


「よし、行こうか」


渚はそう言い、玄関に立った。


こげ茶色の玄関の隣にあるチャイムを鳴らす。


少し待つと奥から人の足音が聞えて来た。


「はい、どなた?」


栞のお母さんの声だ。


「渚と咲紀です。栞、いますか?」


渚がそう言うと、すぐにドアが開いた。


「いらっしゃい。今日は遊ぶ予定だったの?」


年齢よりも随分と若く見える栞のお母さんがそう聞いて来た。


「いえ、そういうわけじゃないんですけど、栞なにしてるなかぁと思って」


渚はぎこちなく笑いながらそう言った。


栞のお母さんは怖いものが苦手だと聞いた事がある。


肝試しに行った事は絶対に口に出せなかった。
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