サガシモノ
「そうなの。栞なら2階にいるわよ」


そう言われ、あたしたちは2階へと向かった。


2階には3つの部屋があり、その真ん中の部屋が栞の部屋になっていた。


「栞、いる?」


ドアをノックして声をかける。


「誰?」


中から栞の声が聞こえてきて、あたしたちは顔を見合わせてホッと息を吐き出した。


ちゃんと家に帰ってきていたことに、とりあえずは安心した。


「咲紀と渚だよ。入ってもいい?」


あたしがそう言うと、「どうぞ」という返事が聞こえてきてあたしはドアを開けた。


部屋に入ると栞は後ろを向いてテーブルの前に座っていた。


部屋に入って来たのにこちらを向いてくれないなんて、やっぱり怒っているんだろうか。


「栞、昨日は置いて逃げちゃってごめんね?」


あたしはすぐにそう言った。


「すぐに旧校舎に戻ったんだけど、栞はもういなかったから」


渚がそう言う。


「ううん、大丈夫だよ」


そう言うが、栞はやはりこちらを向いてくれなかった。


あたしと渚は目を見交わせた。
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