サガシモノ
☆☆☆

男子たちと合流できたのはそれから1時間後のことだった。


ファミレスに集まり、栞の家で起こった事を説明する。


「冗談だろ? 栞が栞じゃなくなったなんて……」


陽が顔をしかめてそう言った。


「冗談なんかじゃないってば! 本当に見たんだから!」


渚が一生懸命話を続ける。


「あの旧校舎は本当にやばいって言ってたもんな。そこに遊びで足を踏み入れたんだ、なにかがあっても不思議じゃない」


健が考え込むようにしてそう言った。


「そんなこと言っても、俺たちにはどうしようもないだろ」


海が言う。


まだあたしたちの話を信じ切れていないのか、欠伸をかみ殺している。


「じゃぁさ、あんたたちも栞の家に行けばいいよ」


渚がムッとした表情でそう言った。


「ちょっと、渚……」


喧嘩をするために男子たちを呼んだわけじゃない。


しかし、渚は止まらない。


「栞の今の姿を見てないから、冗談だとかなんだとか言えるんでしょ」


きつい口調でそう言われて、男子たちは目を見交わせた。


「そこまで言うなら案内しろよ」


陽はそう言い、立ち上がったのだった。
< 43 / 214 >

この作品をシェア

pagetop