サガシモノ
☆☆☆

そこにはさっきまでと同じように可愛らしい一軒家が建っていた。


「何度も来たらきっと栞のお母さんに不気味がられるね」


あたしがそう言うと、渚は「しかたないじゃん」と、男子たち3人を睨んだ。


睨まれた男子たちは気にする様子も見せず玄関へと向かった。


「やけに可愛らしい家だな」


玄関前まで来て健がそう言った。


男子たちには少し居心地が悪いようだ。


「栞が無事な事を確認したらすぐに帰るぞ」


陽がそう言い、チャイムをならした。


少し待つと奥から人の足音が聞えて来た。


「はい、どなた?」


栞のお母さんの声だ。


「栞のクラスメートです」


陽がそう言うと、すぐにドアが開いた。


「いらっしゃい。今日は遊ぶ予定だったの?」


お母さんがさっきと変わらない笑顔でそう聞いて来た。


「いえ、そうじゃないです。ただ、栞の様子を見にきました」


「そうなの。栞なら2階にいるわよ」


「お邪魔します」


そう言い、玄関を上がって行く陽。
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