サガシモノ
旧校舎で起こった出来事をすべて話終えた時、近藤先輩は目を閉じて椅子にもたれかかっていた。


「なるほど。幽霊たちは大切なものを探してくれれば返すと言ったんだな?」


目を開け、陽へ向けてそう聞いた。


「そうです」


陽は頷く。


「その大切なものがなんなのか、まだわからないんだろう?」


「はい」


「それなら、今は幽霊たちの言う通り、大切なものを探すことに専念したほうがいいな」


「また旧校舎へ行っても大丈夫ですか……?」


あたしはすかさずそう聞いた。


旧校舎へ行ってまた何かが起こることが、一番怖い事だった。


また友人を1人失うかもしれない。


そう思うと、二度と行かないほうがいいと思えた。


「実は、卒業している先輩で旧校舎へ行った事のある人がいるんだ」


少し迷ってから、近藤先輩はそう言った。


「そうなんですか?」


健が驚いたようにそう聞いた。


「あぁ。旧校舎が本気で危ないと言ってたのは、その人から聞いた話だ」


そうだったんだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


あたしたち以外にも経験者がいるのなら、その人からの話を聞いておきたい。
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