サガシモノ
早めに
それから渚はあたしの家に来ていた。


1人でいるのも嫌だし、少しでも今夜どうするかを考えておきたかった。


「近藤先輩の話って、全部本当だよね……?」


テーブルに向かい合って座っていた渚がそう聞いて来た。


「たぶん、そうだと思う」


あたしは頷く。


あたしたちを驚かせるだけであそこまで細かな話をつくるとは思えないし、現に旧校舎についてはこの目で見ているのだ。


「経験者は海外か……」


渚はため息交じりにそう言った。


「経験した先輩が日本に入ればもっと協力してもらえたかもしれないよね」


「そうだね。だけどその場合はたぶん、もう……」


そこまで言い、渚は口を閉じた。


渚が言おうとしていたことの意味はだいたいわかった。


日本にいた場合はすでに消されているだろう。


「幽霊の力は海外までは届かないってことだね」


渚はそう言い、外を見つめた。


「まさか、海外に逃げようとしてる?」


そう聞くと、渚は「う~ん」と、首を傾げた。
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