サガシモノ
☆☆☆

それから少し仮眠をしたあたしと渚は夜中の1時になった頃出かける準備を始めていた。


「ライトはまた消えるかもしれないね」


渚が鞄にライトを入れながらそう言った。


「そうだね。でも、彼らが出てきている間周囲は明るいから、探し物に支障はないはずだよ」


「そっか。そういえば、それもおかしいよね」


ふと準備をする手を止めて渚が言った。


「おかしい?」


「うん。なんであの幽霊たちが出て来た時だけ周りが明るくなったんだろ?」


そう言われると、返事はできなかった。


幽霊なら暗い場所に現れて脅かした方が効果的な気もする。


「なんでだろうね……?」


「今日はもっと慎重に周りを観察した方がいいかもしれないよね」


「うん」


あたしは頷いた。


頷いたけれど……あの旧校舎で周りを観察することができるかどうかは、不安だったのだった。
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